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黒田敦史「ノーコードで加速する、令和時代のインキュベーション」

ノーコードベンチャー

皆さんこんにちは。ノーコード開発は、資金の限られた小規模なチームでもプロダクトのリリースを可能にするため、近年、インキュベーションやアクセラレーションの観点からも注目を集めています。
フューチャーアクセス株式会社の代表取締役・黒田敦史さんは、これまでに、事業開発のプロフェッショナルとして、数多くのベンチャー企業の立ち上げや、大企業の新規事業開発を請け負ってきた経験からインキュベーションの手段としてノーコード開発に注力するようになったと言います。
そこで今回は、黒田さんに、ノーコード開発を用いたインキュベーションプログラムの構想や今後ノーコードがベンチャー業界に与える影響について語って頂きました。
【黒田敦史】
株式会社フューチャーアクセス代表取締。株式会社iLab代表取締役。京都大学経済学部卒業。パナソニックの法人営業部門にて勤務した後、A.T.カーニー、フロンティア・マネジメントを経て、独立。企業同士のアライアンスを活かした事業開発・事業成長を得意とする。

 

事業開発のプロが見たノーコード開発

 

-黒田さんがノーコード開発に注目するようになった経緯について教えてください。

一年程前にノーコード博士と出会い、ノーコード開発について説明を受けた際に「これは来るな」と直感しました。これまでに、数多くのスタートアップの設立や新規事業の立ち上げに携わってきた経験から、ノーコード開発は、創業して間もないスタートアップや起業の準備をしている人にとって非常に有用なツールになると考えたのです。

 

-何故、スタートアップや新規事業とノーコードは相性が良いのでしょうか?

スタートアップでは、はじめに大きなビジョンを描いた後に、未完成でも良いのでとにかく早くプロダクトをリリースして走らせる姿勢が求められます。頭の中で構想を描いているだけでは何も始まらないので、ある程度の骨子が固まったら、プロダクトを世の中にぶつけてみて、叩いてもらうことで、より良い形に磨いていくわけです。所謂、PDCAサイクルを回す作業です。

スタートアップの成功と失敗を分ける一番の要因は、どれだけPDCAを回せるかにかかっています。私が見てきた中では、スタートアップの失敗の7,8割は十分にPDCAを回しきれなかったことが根本的な原因です。

特に、非エンジニアの事業者がシステムを開発する場合、自分の求める要件を正確に満たすシステムを作るためには、開発者サイドと何度もやり取りをする必要がありますが、やり取りを繰り返しているうちに時間とコストがかさんでしまって、結果的にPDCAを回しきれずに、妥協してしまうというケースは非常に多く見られます。ノーコードがあれば、より早くPDCAを回すことができるため、それだけ生存確率が上がることが期待できます。

また、一般的に、起業をする際にはじめのハードルとなるのが資金繰りです。私は仕事柄、日々、起業家の方から事業の相談を受けているのですが、筋の良い事業アイディアを持っていても、事業を始めるのに必要な資金が集まらず、一歩目が踏み出せないというケースを非常に多く見てきました。そのような起業家の方がノーコードツールの扱い方を覚えれば、少なくとも、MVPでマーケットのニーズを確かめることは可能になり、最初の一歩目を踏み出せるようになります。

私が代表を務める株式会社i Labでは、イノベーターズサーチというWEBの診断テストを提供しているのですが、これはある会社が保有していた診断アルゴリズムを元に、ノーコード博士に依頼してAdaloで開発したものです。実際に使ってみて、ノーコード開発のコスト面の優位性と開発スピードには目を見張るものがありました。

一方で、ノーコードは大きな可能性を秘めているものの、現状、あらゆる開発のニーズを満たせるわけではありませんし、万能なものでもありません。あらゆるテクノロジーに言えることですが、ノーコードも使い方を見極めることは重要です。

ノーコードインキュベーション黒田敦史

ノーコード開発が社会に与える影響

 

-スタートアップやベンチャー業界にどのような影響を与えるのでしょうか。

コロナ禍の影響により、今後、ベンチャー業界における資金調達は、よりシビアになっていくと思いますが、ノーコードを使えば、プロダクトやサービスを市場に出せるチャンスを誰にも与えられるため、今まで埋もれていたような事業に対しても注目が集まる可能性が広がります。

そのため、今後は、アイディアやプレゼンが上手い人ではなく、本当に実力があり、マーケットと向き合える人に資金が集まるようになっていくでしょう。その意味では、ビジネスモデルや上流のビジネス設計ができる起業家が扱ってこそノーコードの真価が発揮されます。今後、ノーコードツールを使って、シリーズAくらいまで一気に進むスタートアップが生まれる可能性も期待できます。

 

 

-大企業は、ノーコードに関してどのように評価しているのでしょうか?

今は名前を出せませんが、ここ数か月の間でも日本を代表するようなIT企業から多くの問い合を頂いており、ノーコード博士と共にそれらの大企業に対して勉強会を行っています。

すでにITのメインストリームにある大企業の間でも、ノーコードの活用は、当たり前になりつつあります。今のところは、ノーコード開発者も、今は傍流のように見られているかも知れませんが、近い将来、確実に、社会の中心で活躍していくのだろうと考えています。

ノーコードで加速するインキュベーション

 -フューチャーアクセスのインキュベーションセンターについて教えて頂けますか?

フューチャーアクセスでは、これまでの経験をもとに、起業家が集まるインキュンベーションセンターの開設を準備しています。私たちのインキュベーションセンターでは、起業家予備軍を集めて最初にノーコードツールの扱い方を必修科目として教える予定です。

事業を興す際に必要なのは、まずは事業戦略を描く能力であり、次に、お金、人、技術、マーケットと続きます。フューチャーアクセスのインキュベーションプログラムでは、投資家とのマッチングや人材紹介、各種アクセラレータープログラムを通じて包括的にサポートする体制を整備しているのですが、ノーコードは技術面と資金面で起業家の助けになります。

 

-最後に読者にメッセージをお願い致します。

日本のノーコード業界を見てみると、高校生や大学生でもノーコード開発で稼いでいる方が多く出てきましたね。世界的に見てもノーコードは黎明期にあるため、今の時点でノーコードの扱いに慣れている若い方は、数年後ものすごく大きな武器を持った人材となれるでしょう。今後、彼らの中から、世界で活躍する業界の第一人者のような人材が生まれてくることを期待しています。

 

 

設立:2018年3月

住所:〒107-0052東京都港区赤坂8丁目4-14 青山タワープレイス8F

代表:黒田 敦史 代表取締役(共同代表)、三村 昌裕 代表取締役(共同代表)