近年話題のノーコードツールの一つに、Buildboxがあります。
Buildboxはゲーム開発に特化したノーコードツールとして注目を集めており、いまやBuildboxを利用して開発されたゲームがApp Storeなどで上位にランクインすることも珍しくありません。2020年1月末には20億円を調達したことを発表するなど、今勢いのあるツールです。
一方で、日本ではあまりこのBuildboxのインパクトについては一部のユーザーを除いてあまり語られておらず、ガイドとなるような記事もほとんど存在しないのが現状です。
本記事では、Buildboxのインパクトについて実感できるよう、実際にBuildboxをダウンロードしてレトロで根強い人気を誇るジャンルである「ブロック崩しゲーム」を開発してみたいと思います。
Buildboxとは
Buidboxは2019年にリリースされた、ゲーム特化型ノーコードツールです。
従来ゲームを開発するために必要とされていたコーディングスキルを一切必要とせず、オブジェクトやパーツを組み合わせることでゲームを作成することが可能です。
3Dゲームにも対応しており、ゲームで必要となるキャラクターの作成やプレイヤーの動きがテンプレートとして無料・有料で販売されていることから、作成できるゲームカテゴリの幅が広いのも特徴です。
Buildboxをダウンロードする
そんなBuildboxを早速使用していきましょう。
Buildbox公式サイトのダウンロードページから、自分のPCのOS(Mac/Windows)に合わせてダウンロードします。
PCにダウンロードしたら、セットアップを開始します。
セットアップウィザードが立ち上がりますので、インストール先、インストール名、カスタムでデスクトップにアイコンを作成するか等を選択しInstallボタンをクリックします。
初心者の方であれば、とりあえずすべてデフォルトでNextをクリックし、最後の確認画面でInstallを押下すれば大丈夫でしょう。
完了すると、PCでBuildboxが使えるようになります!
早速Buildboxを使っていきましょう。
ノーコードでアプリを実際に作ってみる
まずはインストール完了したBuildboxを開き、ホーム画面の見方を確認していきましょう。
まず、中央上に「Templates」「Tutorials」「Updates」「Upgrade」とタブが並んでいます。
Templates
タイル状にテンプレートが並んでいます。これらのテンプレートは基本的に無料ですが、一部有料のものも存在しており、課金することでより豊富な開発用テンプレートを手に入れることができます。
Tutorials
文字通り、Buildboxを扱う際に必要となる概念や単語についてのチュートリアルコンテンツが揃っています。
内容は非常に充実しており、オブジェクトの操作方法、キャラクターの作成・操作方法からiOS/androidのアプリストアへのデプロイ方法まで、一通りを操作しながら学ぶことができます。キャラクターの作成一つとっても、テンプレート利用・カスタム開発・3Dモデルなど、用途に応じて学習するコンテンツを選び分けることができます。
下記のように、学習したいチュートリアルをクリックしてガイドに従えば、操作を学ぶことができ、非常に便利です。
英語を読むことに抵抗のない方であれば、このチュートリアルを進めれば問題ないでしょう。
Updates
ソフトウェアのアップデート情報が記載されています。
新しいバージョンが出ると、ポップアップで通知されますので、アップデートを忘れないようにしましょう。
Upgrade
有料版への切り替えが可能です。有料版には「Plus」「Pro」の2種類があり、いずれも作成できるゲーム数や利用できる機能によって価格が異なります。「Plus」は月額19.9ドル、「Plus」の上位互換である「Pro」は月額49.99ドルとなっています。
ニュース・最新情報
右下にはBuildbox関連の最新情報がまとまっています。自分以外が作成し、話題を集めているゲームの情報も流れてきますので、勉強になるでしょう。
Buildboxでテンプレートからゲームを生成する
ホーム画面の見方を確認したところで、早速ゲームをテンプレートから作成していきましょう。
まずはfile>Newをクリックします。
ゲームを自分で一から作成するか、テンプレートを使用するか問われますので、Choose Templateを選択します。
今回はブロック崩しゲームを作成しますので、テンプレート一覧上部から「Ball Flipper」をクリックします。
ローディングが完了すると、ゲーム作成用の管理画面に遷移します。
これでブロック崩しゲームが完成しました!
このままでは、ゲームが完成していることにピンとこない方も多いと思いますので、早速プレビューからゲームをプレイしていきましょう。
ゲームをプレイする
画面右上の再生ボタンをクリックすると、ゲームが起動します。
再生ボタンを押すとゲーム開始です。手前のバーはクリックで操作でき、前に6つ並んだオブジェクトにボールを当てて、カウント数を競います。
残基は基本的に0の状態から開始し、一度でも赤のラインを越えたら、ゲームエンドです。
リトライしたい場合は、再度再生ボタンをクリックすることで、もう一度ゲームが始まります。
いかがでしたでしょうか。シンプルなゲームではありますが、最低限ゲームとしての体裁をもったものが、ノーコードツールで作成できるということがお分かりいただけたかと思います。
では実際にどのように動いているのか、操作に必要な各機能を見ていきましょう。
1.アセットライブラリ
アセットライブラリは、基本的な2Dの「スプライト」や3Dの「シェイプ」と呼ばれるオブジェクトや、あらかじめ構築された機能が一通り備わっている、「スマート」などのアセットがひとかたまりとして提供されています。そしてこれらを使うことで、ゲームのキャラクターや障害物などを作成することができます。従来ゲームの開発に必要だったモデリングなどをする必要なく、キャラクターを作成することができる、いわばBuildboxのメイン機能ともいえるでしょう。
画面左側の「Asset Library」をクリックすると開くことができます。
自分が欲しいアセットを探す際は、各アセットの種類に応じたタブを探すか、検索アイコンからアセットの名前を入力する必要があります。
その際、自分が選択したアセットの形状や特徴を確認したい場合、アセットをクリックすることで、その情報が右側のoptionというパネルに表示され、プレビューすることができます。
実際にゲームにそのアセットを追加したい場合、アセットをダブルクリックするか、optionパネルの「add Library」をクリックし、読み込みが完了すれば、そのアセットを使うことができるようになります。
アセットには主に3種類あります。
・sprite:2D表現用の画像です。
・shape:3D表現用のモデルです。ポリゴンと呼ばれる構成要素からなり、経常は表面上のポリゴンの配置塗料によって定義されます。
・asset:ゲームに必要な各種ツールやアクションが含まれています。コイン、敵となる障害物などもあれば、あたると跳ねる「プラットフォーム」、ふわふわと浮く動作や跳ね返り、離れるといった動作を表現するアクションもあります。
2.マインドマップ
マインドマップは、テンプレートを開いたときに最初に表示される画面になります。名前の通り、ゲームのフローをマップとして整理できます。
画面などのUIと実際のゲームワールド(これら一つ一つの要素をBuildboxでは「ノード」と呼びます)の関係性を視覚的に確認するために有用で、内容としては、各UIやゲームの関係性を表現した「Mind Map grid」、ノードの追加、プロパティの表示等が可能です。
Buildboxにおけるゲームの設計思想
そもそもBuildboxでは、ゲームそのものを世界に見立て、「ゲームワールド」と呼称します。そのゲームワールドと、とりまく画面などのUIのことを、ノードと呼んでおり、ゲームワールド内で利用されるキャラクターや各種モデル、オブジェクトなどが「アセット」になります。
ですので、マインドマップにおいては最低限2つのノードを用意する必要があります。
- スタートノード:ゲームをロードする、スタート画面の役割を担うノードです。オプションからBGMなど属性の一部を定義することができます。独自のロゴや読み込みバーなどを画面に追加・変種するには、ノードをダブルクリックして、UIエディターで必要な変更を加えます。
- 3Dワールドノード:一連のシナリオで構成されたゲームワールドになります。ここがいわゆるプレイ画面に該当します。オプションから重力やゲーム速度などの、主要な属性に関して定義することができます。
加えて、追加で下記のようなノードを利用することもできます。
- UIノード:ユーザーインターフェース、または、スコア保持・ゲームオーバーレイを表現できます。
- ランダムノード:ゲームフローをランダム化するために使用できます。
これらを使用することで、テンプレートのブロック崩しゲームに、例えば「ボールを2つ以上にする」「ブロックにボールを〇〇回当てないと壊せないようにする」「ボールの速さを変える」といったカスタマイズができるようになります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は世界的に注目を集める、ゲーム開発用ノーコードツールのBuildboxに関して、テンプレートのゲームを利用して概観してきました。
ぜひ皆さんも実際に手を動かし、テンプレートにオリジナルのカスタマイズをして、自分なりのBuildboxゲームを作ってみてください。
ノーコードジャパンでは、今後もノーコードツールの使用方法に関して発信していきます。