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ノーコードで稼ぐ学生たち

「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている。外部環境の変化に伴い、就職した時点と同じ事業がずっと継続するとは考えにくい。働き手がこれまで従事していた仕事がなくなるという現実に直面している。」

2019年の日経新聞のインタビューの中で経団連会長の中西氏がこのように発言したことは、終身雇用制度の終焉を示唆するものとして大きな波紋を呼びました。

近年はコロナ禍もあいまって、就活に関するニュースにはネガティブなものが多く、将来に対して漠然とした不安を抱えている学生も多いかと思います。

そんな中、ノーコード開発ツールを駆使して自分の力で稼ぐ学生が増えているのをご存知でしょうか。

ノーコード開発ツールの普及に伴い、それらを使って稼ぐ学生が現れてきており、彼らが開拓する新しい働き方や経済圏には目を見張るものがあります。

本記事では、受託開発を手掛ける他、学生向けノーコードオンラインサロンを提供する株式会社Ganacheの中村凌さん、山口鳳汰さん、岩田史門さんの3名に、ノーコード開発で稼ぐ方法やノーコード開発から広がるキャリア形成についてお聞きしました。

【中村 凌さん】

 

産業技術高等専門学校4年。中学2年時マサチューセッツ工科大学へ短期留学。NoCodeツールBubbleにて技術顧問2社経験個人ブログにてBubbleの技術を発信。

 

【岩田 史門さん】


名古屋工業大学工学部4年。自動車小売業界ベンチャーにて営業に従事。人材系スタートアップにて学生向けNoCode講座を立ち上げ、戦略、総務、経理、メディア運用を担当。

 

【山口 鳳汰さん】


2021年 神戸市立工業高等専門学校 卒業。NoCodeの電子書籍を3冊出版し、1冊ベストセラーを獲得。株式会社NoCode Japanにおいても活動

ノーコードに惹かれる学生たち

 

-ノーコード開発を知ったキッカケや注力しようと思った理由について教えてください。

中村「私がノーコードについて知ったのは昨年の7月です。当時、夏休み休暇を有意義なものにしたいと思いプログラミング関連の大会について調べていたところ、TwitterでNo Code Camp杯というハッカソンのことを知り参加しました。それまでノーコード開発について何も知らなかったのですが、実際にBubbleを使って写真のSNSを開発してみて、開発期間の大幅な短縮が出来る点や学習コストの低さに魅力を感じて勉強を続けることにしました」

岩田「私も中村と同じように、ノーコードキャンプ杯でノーコード開発について知りました。それまではJavaScriptを書いた経験はあったものの、仕事として開発に携わった経験はありませんでした。ノーコードキャンプ杯ではじめてチーム開発というものを経験し、収益化まで繋げることができたので、そのプロセスに面白さを感じてハマっていきました。特に高速でPDCAを回してアイデアを形に出来るという点はノーコードの魅力だと思います。」

山口「私がノーコードについて知ったのは二人よりも遅く、昨年の10月頃です。元々、高専卒業後は留学を予定していたのですが、コロナにより留学がキャンセルとなってしまったため、漠然と個人で稼げる力を身に付けたいと考えるようになりました。そこでプログラミングについて調べて始めたところ、たまたまノーコードという単語に遭遇しました。興味本位でBubble、Adalo、Glide、Webflowといったツールを一通り触ってみたところ、『これからプログラミングを始めるよりかは、ノーコードから始めたほうがビジネスに活かせるのではないか』と思い、勉強を続けていった感じです」

 

NoCode学生会|学生に稼ぐ力を

 

-ノーコード学生会発足の経緯について教えてください。

中村「ノーコード関連のサロンやコミュニティは数多くありますが、現在のノーコード業界は、エンジニアとしての実務経験が長かったり、ITの素養が高い人が多く、会話についていけなかったり、敷居の高さを感じるという学生さんの声をよく聞いていました。そのため、ITの実務経験や知識がない学生でも気軽に参加出来る場を提供したいと考え、ノーコード学生会を立ち上げました」

 

-ノーコード学生会のコンセプトと活動内容について教えてください。

中村「ノーコード学生会では、ノーコード関連の学習教材を提供するほか、週例の相談会、月例の懇親会を行っています。レベルに応じて、無料の初級プラン、1000円の中級プラン、5000円の上級プランを用意しており、現在70名程の学生さんに入会して頂いています。中級プランと上級プランの学生さんには、学生会が受託した開発案件に参加出来るプランがあります。」

 

-どのような学生さんたちが多いのですか?

中村「学年で言うと大学2,3年生が多いですが、中学生や高校生の方にも参加して頂いています。学部や専攻に関してはバラバラで、特定の学部に偏っているといったことはありませんが、全体的にアンテナ感度が高く、独立志向が強い方が多いという印象です。最近は会員さんのレベルも上がってきており、自身で案件を獲得するようになった学生さんも増えてきました。」

 

-ノーコードはプログラミングの経験のない文系の学生でも始められるのでしょうか?

山口「全く心配する必要はありません。実は私は、ノーコードツールを扱うようになるまでパソコンを扱ったことがほとんどなくて、学校の課題やレポートもほとんどがアナログでした。ノーコード開発を始めた時も『なんかMacがいいらしいぞ』といったレベルでした(笑)」

中村「私も機械系の高専に通っており、機械いじりに明け暮れる日々だったので、プログラミングやソフトウェア開発の経験はほとんどありませんでした。ノーコード開発を始めるのに、プログラミングの経験がない文系の学生でも全く心配はないと思います。」

 

-ノーコード開発を学習する上でのポイントや注意点などはありますか?

山口「作りたいアプリの骨子や目的が決まっていればそれに越したことはないですが、特に決まっていなくても、まずは触ってみることが重要だと思います。まずはYoutubeなどでチュートリアルを見ながらツール触ってみて、アプリ開発を楽しむことから始めるのが良いのではないでしょうか。最近はサロンも増えているので、分からないことがあった時に気軽に質問出来る環境に身を置くことも重要だと思います。」

 

-岩田さんは、来年、大手IT企業に就職されるそうですが、ノーコード開発の経験は就活にも役に立つのでしょうか?

岩田ノーコード開発に関する事業を展開している企業であれば、大きなアピールとなると思いますが、敷居が低い分、ノーコード開発の経験だけだと評価に繋がらない可能性もあります。そのため、ノーコード開発を用いたことで『より多くのリソースをビジネス設計やクライアントワークに使うことが出来た』『一通りのビジネスの工程を経験することが出来た』といった伝え方をした方が評価に繋がるのではないでしょうか」

 

ノーコードで稼ぐ学生たち

 

-ノーコード学生会で活躍する学生さんたちを紹介してください。

白鼠さん(@Shironezumi_dev)

岩田「ノーコード開発を始めて半年ほどで月収30万円ほどを稼げるようになった方です。BubbleやWebflowを得意としており、ノーコード関連のベンチャーで開発の会社でPMの業務もこなしています」

 

松尾さん(@Matsuo5naoki)

岩田「松尾さんは、全くのプログラミング初心者からノーコード開発をはじめた方で、自社プロダクトや受託案件の両方に取り組んでいます。主にBubbleでサービスを作っています」

 

ひろたかさん(@nantoka_narute)

岩田「ひろたかさんは元々プログラミングの素養があった方で、主にAdaloを使って開発しています。マーケティングを得意としており、ノーコードと掛け算して差別化しています」

 

 

きたそたさん(@kitasota_)

岩田「北大に通うきたそたさんは、ノーコード開発と広告運用を得意としており、すでにPMとしてチームを組成して大型案件もこなしています」

 

さくやさん(@sakuya_design)

岩田「さくやさんは、高校生でありながらすでに個人事業主として活動されていて、デザインに強くWebflowなどを使った制作案件などをこなしています」

 

KACEY@7mitoukarashi

岩田「KACEYさんは、ノーコード学生会のお抱えデザイナーです。学生会で獲得した大型案件も多数お願いしています」

 

-彼らはもともと開発経験はあったのですか?

岩田「ここで紹介した皆さんは、すでに自立して稼げるスキルを身に着けていますが、ノーコードに関しては基本的にゼロから始めて1年程で大きく成長していったので、私達としても驚いています」

 

中村「まつお君とKACEY君にいたっては『marginとpaddingって何?』といったところからスタートして3か月程で収益化に繋げることに成功しているので、彼らのやり方を再現して稼ぐことができる学生さんは多いと思います」

 

18歳の高専生はどのようにして月150万円を稼ぐのか

 

-中村さんはどれくらいの収入があるのですか?

 

中村「私は昨年の7月からノーコードを勉強し始めて、現在は月に150万円ほどの収入があります。主に受託開発の案件を請け負う他、海外の企業と一緒にBubbleのプラグインを開発するというプロジェクトにも参加しています。はじめはツテもなかったので、とにかく何社もテレアポを取り、足を使って営業活動をしていきました。最近は営業代行の会社さんと提携しており、開発も人に任せるところは任せて自分はPMに回ることが多いです」

 

-その年齢でそのまで出来るのはすごいですね。周りにメンターのような存在の人はいたのですか?

 

中村「いえ、特にいなかったです(笑)。はじめは手探りでしたが、営業のたびにメモを取りながら試行錯誤をしていくうちに『どういったキーワードが刺さるのか』『どのような訴求方法が良いのか』といったことが分かってきた感じですね」

 

-中村さんのように稼いでいる人は他にもいるのでしょうか?彼らに共通点などはありますか?

 

中村「学生会の中でも上位数名は、月収が100万円を超えていると思います。伸びている人たちの共通点として、自分のサイトやサービスを最低ひとつは作っていることが挙げられます。そのような経験がある人は、受託開発でも相当稼げるようになっています。これは私の仮説ですが、一度でも自分でのサービスを持つと、作る人の立場で提案を出来るようになることに加えて、より良いものを追及する姿勢が身に付いたのが、稼げるようになった要因だと考えています」

 

-今後、ノーコード開発者が稼ぐためにはどのようなことが重要になってくるのでしょうか?

 

中村「高単価な案件の獲得を目指すのならば、開発以外の側面を充実させていくべきだと考えています。具体的には、ノーコード開発とマーケティングやデザインなどの別の領域とを掛け算して自身を差別化したり、自分はPMにまわり、開発は人に任せるといった働き方があります。いずれにせよ自分ひとりで出来ることには限界があるので、人に頼む仕事と自分でやる仕事を振り分けていくバランス感覚が重要ですね」

 

-最後に今後の抱負と読者へのメッセージをお願い致します。

 

中村「ノーコード学生会では、今後も稼げる学生の育成を目標に活動を続けていきます。

また、運営会社Ganacheにはデジタル化の推進により地方創生に貢献するというコンセプトもあるので、これらの二つを軸に活動の幅を広げていきたいと考えています」

 

山口「最近は学生が起業をする流れが一般的となってきたと思います。今後は、ノーコード開発を既存の学生起業家のコミュニティにも広げていけたら面白いのではないかと考えています」

 

岩田「この1年でノーコード開発の事例が増えてきましたが、ノーコード開発が使われるべきでありながら未開拓な分野はまだまだ多くあると思っています。今後は、ノーコード開発では出来ないと思われていたような分野も切り拓いていきたいと思います」

 

株式会社Ganache
NoCode学生会
.bubble plugin(中村さんのサイト)