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【イベントレポート】iU Executive Schoolプレセミナー「DX推進におけるノーコードとUX」

DXとノーコード

6月4日、iU 情報経営 イノベーション専門職大学によるオンラインイベントiU Executive Schoolプレセミナー「DX推進におけるノーコードとUX」が開催された。

本プレセミナーは、8/28(土) 29(日)に開講されるiUエグゼクティブスクール #3『ノーコード開発がもたらすDX改革』への導入と位置付けられたものであり、UXデザイナーの深津貴之氏、IT評論家の尾原和啓氏に加えて、ノーコードジャパン株式会社教育担当リーダーの奥いずみが登壇した。

この記事では、イベントの要旨を伝えると共に、DX推進の文脈におけるノーコードとUXの在り方を考える。

【登壇者プロフィール】

 

尾原和啓氏(IT評論家、iU客員講師)

執筆家・IT批評家。インドネシア・バリ島に在住する傍ら、Fringe81執行役員や経産省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーも務める。グロービス経営大学院「テクノベートMBA」特別講座講師、BBT大学「ITビジネスの戦い方」講師。

 

深津貴之氏(UXデザイナー、note株式会社 CXO、THE GUILD 代表)

インタラクション・デザイナー。株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。メディアプラットフォームnoteのCXOとして、note.comのサービス設計を務める。執筆、講演などでも勢力的に活動。

 

 

奥いずみ(NO CODE JAPAN株式会社教育担当リーダー、iU客員講師)

NoCode Japan株式会社教育開発部。外資および国内デザイン会社を経て独⽴。ユーザー調査やUXコンサルティングを専⾨とし、ワークショップの企画や実施も⾏う

ノーコード開発のトレンド

ノーコードジャパンの奥は、イベントの冒頭でノーコード開発の定義や概要について説明した後に、業界の動向やトレンドを導入事例と共に紹介した。

これまでに数多くのノーコード関連のスタートアップが生まれており、ノーコード開発がカバーする領域はWEBサイト作成やワークフローの自動化からtoC向けスマホアプリにまで及ぶ。

ノーコード業界では、スタートアップに限らず各国の大企業も主要なプレイヤーとして存在感を示しており、すでにGoogle、Amazon、Microsoftなども参入している。これらのテックジャイアントは、ワークフローの自動化や業務効率化を目的としたtoB向けプラットフォームに注力する傾向がある。

「世界を見渡してみると、新興国などではtoC向けのアプリがノーコードで開発される事例がすごい勢いで生まれてきています。一方の日本では、RPAや日々の業務をDXするための手段として使われることが多い印象です」(尾原氏)

 

 

ソフトウェア開発の門戸を広げる

今日、ソフトウェア開発に従事している人の割合は世界人口の0.3%にすぎないと言われており、ノーコード開発ツールはソフトウェア開発の門戸を広げるという点でも注目されている。

実際に、非エンジニアの従業員が、ノーコードツールを用いてシステム開発やアプリ開発を主導する事例が数多く生まれており、予算や人的リソースの限られた中小企業の間でも広まっているという。

尾原氏は、ノーコードが世界的な潮流となった理由として「とりあえずアジャイル的に立ち上げてみる」といった俊敏さが重視されるようになった社会的背景を説明した。

一方の深津氏は、世界的なエンジニア不足の現状を指摘し、ノーコードの普及の必然性を指摘する。

何年も前からノーコードに注目していたので、昨今の盛り上がりは個人的には嬉しく思います。世界的にエンジニアが足りていないという状況が続いている以上、ノーコードは伸びざるを得ないのではないでしょうか。

現状では優秀な開発者ほど、米国の大きなプロジェクトにアサインされていくため、米国以外でDXが中々進まないということが起きているのです。

高級言語の一歩手前にノーコードというレイヤーを作って、開発に携わる人の数を増やすということが現実的な解決策ですから。(深津氏)

 

DXとノーコード

非エンジニアでもノーコードツールにより業務をデジタル化をできるようになったことで、今まで以上に多方面からDXが推進されることが期待できる。

奥は、ノーコードのDXへの活用事例としてAppSheetを紹介した。米国の芝刈り機メーカーであるハスクバーナ社は、在庫管理や人事を効率化するアプリを現場主導で作成するためにAppSheetを導入。約8か月の間で41のアプリが作られ、そのほどんどは非エンジニアにより作成されたという。

このように非エンジニアが現場から各業務をデジタル化していくことは、「ボトムアップ型のDX」「草の根DX」などと呼ばれており、リソースが限られた中でもすばやく始められる点でDXのすそ野を広げることが期待されている。

尾崎氏は、まず業務効率化が先行して起こり、それに続いて全く新しい価値が創出されていくというDXのプロセスを語り、単なるデジタル化推進の延長だけではない「ゲームチェンジ」の可能性を示唆した。

「今まで人月がかかっていた業務をノーコードで自動化することが出来れば、そのプロセスを無料にして、別のところでマネタイズするといった新しい形のフリーミアムモデルを生む土壌にもなるかも知れません。

他にも、人材の空きの可視化をすることで、社内リソースのシェアリングエコノミーに繋がったり、イントラシップを加速させるという潮流も生まれつつあります。このトレンドがどこまで広がるかといった点は非常に興味深いですね。」(尾原氏)

 

参入障壁が下がることにより生まれる変化

ノーコードツールの多くは、パワーポイントを扱うような感覚でシステムを開発できるGUI(グラフィカル・ユーザーインターフェース)を搭載しているため、システム開発の敷居が下がる。このことにより起こる変化として以下のような事項が議論された。

【ノーコード開発により起こる変化】

 

・各企業の各部署が持つ固有の課題に対して、より正確なソリューションを提供できるようになる。

 

・固有の課題に対して現場スタッフが主導してアジャイル的なシステム開発が普及する。

 

・PDCAのサイクルが速まり、UI/UXの追求が加速する。

 

・ビジネスモデルができていればサービスインまでの時間を大幅に短縮できるため、変化に対してより迅速にキャッチアップできるようになる。

ノーコードは、どのような人にとって武器になるのか

 

自身もShopifyを始めとするノーコードツールを多用するという深津氏は、ノーコード開発ツールに依存することのリスクやツール選定の重要性を指摘しつつも、基本的にはポジティブなスタンスだという。

「アップルストアで大きなルール変更があった際などに、プラットフォームに対応を任せることはリスクがあるので、業態・業種によっては慎重になる必要がありますが、社会全体でみるとメリットの方が大きいと考えています。」(深津氏)

それでは、ノーコードはどのような人にとって大きな武器となるのだろう。ノーコードを活用することのメリットの多い業種や職業について議論が進められる中で、深津氏は特有のメインスキルを持ってる人にとってノーコードの活用は大きな価値があると語る。

「今まで1年基礎修行しないといけなかったものが、2か月程の訓練で実践投入できるようになるといったことが起きています。例えば、Excelを力づくで使っていた人達に対して、VBAマクロを書ける人はものすごい生産性を発揮していましたが、そのようなことがExcel以外の分野でも起こっていくと予想されます。」(深津氏)

続けて、「各企業の財務諸表をチェックする際にノーコードを活用することで、各指標を自動フィードするシステムを作るトレーダーや投資家が現れたり、文章校正をノーコードで自動化して効率化を図るといった編集プロダクションが出てくるかもしれません。」と今後、生まれ得る事例を示唆した。

 

ラストワンマイルのUXとUXの標準化

続いて議論はUXに移る。今回のディスカッションでは、ノーコードによってラストワンマイルのUXとUXの標準化がもたらされることが言及された。

現場からのボトムアップの開発や開発コストの低減により、ユーザーに一番近い領域でのUXが改善されていくという文脈はノーコードを語る上で頻繁に語られる。いわゆる「痒い所に手が届く」ようなUXの追求だ。

「しかし」と前置きをした上で「UXの標準化こそがノーコード本質である」と深津氏は語る。

ノーコードプラットフォームには「より高速で検証されたUXの経験知がプラットフォームに蓄積される。」「ニッチな領域でのUXの経験値の蓄積が加速する。」といった特徴がある。

つまり、コンバージョン率の高いレイアウトやUXのテンプレートが充実することで、各事業者は自分のサービスを最適なUXでサービスインできるというトレンドが起こり得るのだ。そして、そのトレンドはこれまでUXが十分に検証されてこなかったようなニッチな領域にも到達する可能性がある。

これを受けた尾原氏の発言は、あらゆる業界の事業者にとって示唆的なものだった。

「その潮流が加速すると、開発そのものでアドバンテージが生まれない分、ビジネスの設計や足腰に加えて、よりクリエイティブな業務が差別化を図っていく必要が増していくのかも知れません。」(尾原氏)

 

ノーコード開発は、過大評価も過小評価もされがちな黎明期にある。日本でもノーコード開発の導入事例は増えてきているが、社会全体に与える影響や変革についての俯瞰図を把握するのは難しい。

今回のプレセミナーでは、IT業界の識者たちにより、DXの枠組みの中でのノーコードの可能性について道筋が示された。

iUエグゼクティブスクール #3「ノーコード開発がもたらすDX改革」では、最新のケーススタディをもとに実際にノーコード開発ツールを使ったサービス設計の体験ができる。DX推進について課題を抱えている方は、参加を検討してみると良いだろう。

 

iUエグゼクティブスクール #3「ノーコード開発がもたらすDX改革」

今回のプレセミナーに続き、iU(情報経営イノベーション専門職大学)は、iUエグゼクティブスクール #3「ノーコード開発がもたらすDX改革」最先端のケーススタディと組み合わせたUXデザインワークショップを8月28日(土)29日(日)の二日間に渡って開講する。

◆日時
2021年8月28日(土) 10:00〜18:00
2021年8月29日(日) 10:00〜18:00

◆募集人数
20名

◆会場
iU 竹芝サテライトオフィス
https://www.i-u.ac.jp/information/access/
東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー 8F
※状況により変更となる可能性がございます。

◆講師陣
講師:NoCode Japan株式会社 教育担当 奥 いずみ(おく いずみ)
監修:NoCode Japan株式会社 代表取締役 中川 賢史朗(なかがわ けんしろう)
コーディネーター:iU専任准教授・学部長補佐 川上 慎市郎(かわかみ しんいちろう)

◆本講座の目指すところ
「DXの武器を装着する」
 -DXを武器に企業で、社会で活躍できる人材になる
 -ベンダー側のDXではなく社会改革としてのDXを実現する

◆講座の構成
講座は第1日目の【日本発ノーコード開発ツール「Click」アプリ開発】と、
2日目の【ノーコードでより良い顧客体験をデザインするUXワークショップ】の2日間の構成です。
ノーコードの開発の手軽さを体験、また広範囲のノーコードのケーススタディを理解し、コードを書かなくてもスピーディに実践できるDXビジネスソリューション企画の考え方を身に着け、すぐにご自身の仕事に生かすことができます。

◆概要
最近、話題になる機会が増えている「ノーコード」。GAFAをはじめとする大企業によるノーコードプラットフォームのM&Aや、スタートアップの大型資金調達などがニュースになっています。DX(Digital Transformation)が多くの企業や組織において推進する必要性が求められていますが、同時にITプログラマーや専門家の不足により、迅速にデジタルサービスを展開していくことが大きな課題となっています。
ノーコードは、そのソリューションとして注目されており、本講座では、NoCodeJapanが開発を手掛ける「Click」を使い、実際にアプリ開発の体験を提供します。また、ノーコードツールの種類と事例を理解し、DX革命にノーコードを役立てるUXワークショップを通じて、最短でマーケットに公開できるプランの企画を立案します。
※なお参加に当たってはご自身のPCをご持参ください。(貸し出しは行っていません)

◆具体的な内容
1日目: ノーコードでのアプリ開発を体験する
ノーコードアプリ開発プラットフォームを「Click」を使い
実際にアプリ開発を体験し、短時間でアプリ開発ができることを体験する。
・コース紹介
・ノーコードの基礎
・IT基礎
・ノーコードアプリ開発
・作成アプリ発表
・UX概論(前半)

2日目: 世界の最先端のノーコード事例を知り、顧客サービスをデザインする
ノーコードの世界的なトレンドやケーススタディを通じて、
ノーコードがどのようにビジネスに影響をもたらすかを知る。
より良い顧客体験を提供するサービスをノーコードで企画するワークショップを通して、
より迅速にサービス開発ができることを体験する。
・UX概論 (後半)
・ノーコード・ケーススタディ
・ノーコード応用したUXワークショップ
・サービス企画の発表

◆お問い合わせ
iUエグゼクティブスクール iuex@i-u.ac.jp

 

「本講座では、具体的な開発事例を紹介しつつノーコードツールClickを使って実際にサービスを作っていただきます。『課題の解決策はあるけどリソースが足りない』『プロトタイプを手短に作ってβテストを行いたい』といった方は、是非、お気軽にご参加ください。」(ノーコードジャパン株式会社奥いずみ)

 

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