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ブロックチェーン開発の壁はノーコードで乗り越える時代に

「ブロックチェーン」というワードがメディアで喧伝されるようになってからすでに数年が経過しました。当初はビットコインに利用されている革新的な技術として注目を浴びていたブロックチェーンは、日進月歩でその改良が進み、様々な領域での活用が模索されるようになりました。現在では企業のDXをも推進するエンタープライズ向け製品として売り出されることも少なくありません。

一方でブロックチェーンはその技術特性から、初学者にとっては非常に学習コストが高いことでも知られています。また、誇大的に取沙汰されてきた数年前に比べると、より冷静な視点でブロックチェーン技術を評価するようになった人も多いかと思います。

そんなブロックチェーンのアプリケーションの開発が、ノーコードを利用することで効率的に進められるのであれば?そんな未来を少し見て見ましょう。

1.ブロックチェーンとは

ここで、ブロックチェーンとは何だったのか、またその意義は何なのか、改めて振り返ってみましょう。

ブロックチェーンとは仮想通貨ビットコインの基幹技術として発明された概念です。ビットコインは特定の発行主体が存在しないにも関わらず、通貨としての価値を担保されている二重払いが防がれる画期的なシステムですが、この改ざん耐性や、複数のコンピュータ同士が分散的に取引のデータを確認・合意する「スマートコントラクト」を実現できる技術として注目されるようになったのがブロックチェーンになります。

ブロックチェーン、活用領域の拡大へ

そして今ではビットコインのような仮想通貨にとどまらず金融・サプライチェーン・コンテンツ管理といった多くの分野でスマートコントラクトの実現が試みられているのです。

実際にブロックチェーン活用事例として、三菱UFJフィナンシャルグループによるデジタル証券発行、ふくおかフィナンシャルグループによる地域ポイントプログラム、ウォルマートによる食の安全確保に向けたトレーサビリティ担保のためのプラットフォーム構築、透明性を担保した著作物の版権管理システムなどがあげられます。

(参考:ブロックチェーン活用事例10選ー2019年はブロックチェーン3.0時代へ)

特に昨今のビジネスを取り巻く環境の変化は激しく、大企業にとってはデータとデジタル技術を活用することで、サービスやビジネスモデルを変革していく、すなわちDXの実現に迫られていると言っても過言ではありません。その中で、大企業のDXを支える一技術として、エンタープライズパッケージの開発やコンサルティングビジネスが盛んになっています。

DXをサポートする技術としてのブロックチェーン

矢野経済研究所の調査結果によれば2019年度の国内ブロックチェーンサービス市場規模は、事業者売上高ベースで約171億5,000万円に上り、2022年度の市場規模は1,235億9,000万円にも達するとみられています。 

(画像は矢野経済研究所「2019年度の国内ブロックチェーン活用サービス市場規模は171億円の見込、2022年度には1,235億円に達すると予測~実証実験から商用化への移行度合いが市場拡大のカギ~」より) 

2.ノーコードでブロックチェーンが加速する

では、ノーコードツールを活用することで、ブロックチェーンアプリケーションの開発においてはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ノーコード開発のメリット

そもそもノーコード開発のメリットは、①開発スピードの向上ーコーディングという作業工程を必要としないため、開発工数を大幅に削減することができる、②開発・保守・運用コストの削減ー非エンジニアでもアプリケーションをメンテナンスすることができ、リソースプランニングがより効率的になる、③DevOpsの推進ー近年流行する開発手法であるDevOpsを採用する際にも、ノーコードツールを活用することで運用チームと開発チームのインタラクティブなコミュニケーションが促進される、といったメリットがあります。

詳細はこちらの「ノーコード開発プラットフォームが社会に与える影響」の記事をご覧ください。

ブロックチェーンアプリケーションの開発におけるノーコードツールの活用

もちろんブロックチェーンアプリケーションの開発においても、ノーコードツールを活用することでこれらのメリットを享受することができます。

ブロックチェーンを用いたアプリケーションの開発にはブロックチェーン独自言語、デプロイ方法、アーキテクチャと言った技術スタックの習得が必要不可欠であり、その学習コストは高いものでした。

本来ITエンジニアはインフラエンジニアとアプリケーションエンジニアのように、個々人はその専門領域に特化してチームで開発を進めていくのが一般的です。しかしブロックチェーンはネットワークからデータベース、スマートコントラクトアプリケーションの作成にいたるまでをカバーする技術であり、これらすべてに一定程度精通したうえで、さらに独自の言語を習得しなければならなかったのです。そのため一定の年数開発経験があるエンジニアであっても、学習に時間がかかるばかりか、十分なドキュメントがないなどの理由で学習をあきらめるケースも少なくありませんでした。

しかしノーコードでのブロックチェーンアプリケーションの開発であれば、GUIでの操作が可能となり、バックエンドの処理を自動化することができるため、学習コストは大幅に下がり、ビジネスロジックの検討に時間を割くことができるようになります。

ブロックチェーンはDXの文脈で非常に注目される技術ではあるものの、そのユースケースについては模索が続いている段階で、幅広い活用方法が模索されています。新規事業としてブロックチェーンを活用しようという大企業も少なくありません。その中でどのような業務をブロックチェーンで改善できるのか、どうブロックチェーンを活用するのか、といった議論をする際に、ノーコードツールを活用して迅速に作成したプロトタイプでイメージを共有することは、抽象的な議論が多くイメージのわきづらいブロックチェーン開発においては非常に有用です。結果として設計・開発フェーズでの業務要件と技術側とのすり合わせなどの工数の削減につながるのみならず、アプリケーションとしての品質を高めることにも寄与するでしょう。

 

3.ブロックチェーンアプリケーション開発のためのノーコードツール

実はすでにブロックチェーン特化型のノーコードプラットフォームは出始めています。具体的に見ていきましょう。

Joget

JogetはRedhatが提供するエンタープライズ向けコンテナ化ソフトウェアOpenshift上でIBMが提供するブロックチェーンソリューションIBM Blockchain Platformを実行するためのノーコードツールです。

(参考:Building a No-Code Blockchain App with IBM Blockchain Platform and Joget on OpenShift)

IBMは従来よりエンタープライズ向けブロックチェーンとして比較的幅広い認知を得ているHyperledger Fabric構築のためのフルマネージドサービスIBM Blockchain Platformを提供していました。しかし、このIBM Blockchain Platformを利用しても、Hyperledger Fabric上でのビジネスロジックのコーディングは必須となっていました。

一方このJogetはIBM Blockchain Platform上でコーディングを一切することなく、グラフィックで表現されたタイルを操作することで求めるビジネスロジックを表現することが可能です。

 

Unibright

Unibrightはブロックチェーンのスマートコントラクト記述特化型言語DAMLのノーコードツールです。DAMLはブライスマスターズ氏が設立したDigital Asset社により開発され、多くのブロックチェーンにてサポートされている言語です。Unibrightを利用することで、スマートコントラクトの生成、デプロイ、更新をGUIで操作することができるようになります。

 

(参考:No-Code Blockchain Integration: The Future of Business-to-Blockchain?)

 

詳細は「『Unibright』ブロックチェーン活用のカギはノーコード」の記事をご覧ください。

 

Betty Blocks

ノーコードツールBetty Blocksも、ブロックチェーンアプリケーションの開発をサポートしています。Betty Blocks自体はブロックチェーン専門企業ではなく、様々なアジャイル開発促進のためのノーコードツールを開発しており、そのクライアントとしては主に金融機関を想定しています。

(参考:NO-CODE: MAKING BLOCKCHAIN IMPLEMENTATION EASY

最後に

今回は、ノーコードツールがいかにブロックチェーンアプリケーションの開発においてもインパクトを与えうるものであるか、紹介しました。これまでは学習コスト・開発コストの高さがネックとなっていたブロックチェーンアプリケーションの開発においても、ノーコードはその真価を発揮することになるでしょう。 

 

ノーコードのソリューションは、ブロックチェーンアプリケーションとインテグレーションをレガシーシステムと既存ビジネスへもたらすネクストステップになるだろう。ー Michael Tuijp , Unibright.io

 

NoCodeJapanでは、今後もノーコードによってもたらされる、最新テクノロジーへのインパクトについて配信していきます。